社会保険料が下がったら、精神科医療はどうなる?

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社会保険料が下がったら、精神科医療はどうなる?

最近の政治の話題でよく耳にするのが、「若者の手取りを増やすために社会保険料を下げよう」という政策。日本維新の会などが中心となって、そうした取り組みを進めています。

確かに、少子化がどんどん進む今の日本では、今のままの制度では高齢者の医療や年金を支えきれなくなるのは明らかです。だからこそ、「どの部分をどう見直すか」という議論が避けられなくなってきています。

ではもし、実際に社会保険料が下げられたら、精神科の医療現場にはどんな影響があるのでしょうか?

一番影響を受けるのは「精神科救急」

まず真っ先に打撃を受けそうなのが、「精神科救急」を担っている大きな病院です。入院医療はどうしてもコストが高く、急性期の治療が終わったあとも、数カ月にわたって治療が続くことも少なくありません。

そうした中で国の予算が限られてくると、厚労省としては「できるだけ入院のハードルを上げよう」という方向に動く可能性が高いでしょう。

地域で支える仕組みはどうなる?

入院の門が狭くなると、地域で精神疾患を抱える人を支える体制がますます重要になります。これまでも、グループホームや行政の相談員、ケースワーカー、訪問看護、ヘルパーさんなど、さまざまな人たちが支え合ってきました。

ただし、根本的な制度改革がないまま予算が削られてしまうと、支援の手が届かなくなる可能性があります。重い症状の方を地域だけで支えるのは、現場にとって相当な負担です。

家族や行政の負担が増える未来に?

入院が難しくなれば、結局は家族の負担が増えることになります。もし家族がいない場合は、行政の担当者にしわ寄せがいくケースも出てくるかもしれません。

社会保険料を下げて若者の手取りを増やすことは、とても大切な視点です。でも同時に、その影響が医療や福祉の現場にどう波及するかも見逃せません。特に精神科のように、長期的な支援が必要な分野では、慎重に制度設計を進めてほしいところです。

一見「経済の話」に見える政策が、実は「心の医療」にもつながっている。そんな視点でニュースを見てみると、政治の動きが少し身近に感じられるかもしれませんね。

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